講座・教員
研究紹介
Research

MASARU FUKUSHIMA

准教授:福島 勝

研究テーマ

・量子システムのガチ量子力学シミュレーション
・ジェット冷却フリーラジカル ( 不安定分子 ) のレーザー分光

フリーラジカルのレーザー分光を行う実験室の様子

フリーラジカルのレーザー分光を行う実験室の様子

実験室には、フリーラジカルをジェット冷却という技術を使って、数 K 程度 ( -270 ℃ ) の極低温条件下で生成する装置 ( 写真中央の円筒の装置 ) 、および、それを観測するためのレーザー装置 ( 写真奥のオレンジ色の装置 ) などがあります。この実験室では、例えば、NO3 という窒素酸化物 ( 大気汚染物質 ) を研究しています。NO3 は、正三角形の3回回転軸をもつ平面構造で、量子力学的対称性で D3h と呼ばれます。NO3 の各原子の電子を数えてみると、NO3 の電子の数は奇数個になります。電子はペアになりたがるので、1つ余ることになります。平面正三角形の中に電子が1つ余る状況は、かなり、貴重で、研究では、正三角形の歪み ( 振動 ) と電子の相互作用について研究してます。さらに、SiNSi という直線分子も研究してます。SiNSi の特徴の1つは、両端が Si という左右対称です ( 量子力学的対称性では D∞h と呼ばれる )。このような左右対称性では gerade/ungerade ( g/u と略す ) という対称性があり、この g/u 対称性に従った分子の歪み ( 振動 ) や電子の動きのみ許されます ( 選択則 )。このように、特殊な環境 ( 分子 ) を観測して、量子力学的な新たな仕組みを探る研究を行ってます。